転職先が決まり、現在の勤め先に退職の申し出をするとき、その交渉過程において、「法律上は2週間前に申し出をすれば辞められる」とか「就業規則で定めているとおり●ヶ月前の退職は認められない」との、キワドイやり取りが稀にあります。
この場合、「民法第627条優先か?」「就業規則が優先か?」ということになるのですが、少し整理してみました。
民法上では・・・
期間の定めのない場合は「雇用は、解約申入の後2週間を経過したるに因りて終了する」(民法第627条第1項)と定めています。
一方、就業規則上では・・・
「自己都合退職のときは退職予定日の●ヶ月以上前に退職願を提出すること」といった内容が定めています。
一般的に民法の規定は任意法規と解されているので、労働契約や就業規則の上で、民法の規定と異なる定めをした場合には、その定めが優先することになります。
但し、事前申し出の定めが極端に長いときは退職の自由を制限するため、民法90条違反(公序良俗違反)として無効となる」という判例があります。(平成13年9月10日・東京地裁・プラスエンジニアリング事件)
要するに、3ヶ月以上前との定めは無効だが、1ヶ月以上前は有効と見て良いのでしょう。
しかし、ややこしいのは・・・
民法第627条を強行法規と解する判例(昭51年10月29日・東京地裁・高野メリヤス事件)もあり、「就業規則の規定は、予告期間の点につき、民法第627条に抵触しない範囲でのみ有効だと解すべく、その限りでは、同条項は合理的なものとして、個々の労働者の同意の有無にかかわらず、適用を妨げられないというべきである。」と、民法627条は強行法規だと解釈しているのです。
まあ、世間一般常識の範囲内の定めであれば就業規則が優先すると考えておくことが無難でしょう。
~人材紹介コンサルタント 中野康孝~