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2008年07月14日

●内定に迷ったら…

「何のために働くのか?」
いきなり唐突な質問から始まり、申し訳ありません。
この問いかけには「食べるために働く」、「夢を叶えるために働く」、あるいは「人は働くのが当たり前。何のため働くかなんてナンセンス」等...、様々な答えが返ってきそうです。

時々「もし宝くじで3億円が当たったら、仕事を辞めて遊んで暮らす」という話を聞いたりします。確かに収入だけを考えれば働く必要はなくなるかもしれませんが、果たして本当に働くことを辞めるのでしょうか...?
働くということは、人が生きていく上で、思っている以上に根源を為しているもののようです。

姜尚中氏は近著「悩む力」の中で、働くことの第一義として「他者からのアテンションを得る」ことを挙げています。
詳細は省きますが、社会という基本的には他人同士が集まっている集合体の中で生きるためには、他者から何らかの形で承認されることが必要で、そのための手段が働くことであるということ、また「アテンション(=承認のまなざし)」を受けることにより社会の中にいる自分を再確認し、自己肯定の安心感を得て、自信につながっていく、と述べられています。

さて、ここで転職においての「アテンション」を考えてみたいと思います。
転職の場面では、求人・求職者双方のアテンションの合致、すなわち「相互承認」が非常に重要なファクターの一つとなります。

求人側からの内定は、「組織の課題を解決できる人・組織に貢献をしてくれる人・仲間として一緒に働きたい人」という承認であり、その人が働くことにより、組織が目指す方向に発展することを期待しているということです。
また、求職者の方が内定を受諾するのは、「その承認と期待に信頼を寄せることができる」という承認=『相互承認の成立』を前提として、転職で目指していることが概ね実現するという確信がある時ではないかと思います。

内定に至った段階で、転職で実現したいことが叶えられそうなのに、迷われる求職者の方を時々お見かけすることがあります。
そのような時は、『相互承認の成立』を指標に考えてみるのも一つの手段です。

求人企業に関して情報を収集し、様々な角度から検討してみてください。
それから、内定理由=承認内容の詳細を考えてみてください。
企業への信頼と内定理由に納得がいけば、企業との間に相互承認が成立していることになります。

なかなか難しい判断になりますが、まず何よりも「企業からアテンションを受けている」ということに自信を持って、是非前進して頂きたいと思います。

~人材紹介コンサルタント 中村哲子~

2007年11月19日

●社会人基礎力は備わっていますか?

現在、経済通産省では日本の経済を担う産業人材の育成・確保の観点から、産業界・教育界・学界の参画を得て、「社会人基礎力に関する研究会」を開催しています。その検討内容は「社会人基礎力」の養成、企業における人材確保・育成、特に若年層の就職プロセスの在り方等となっています。

「社会人基礎力」という言葉が気になりますが、以下の通りに定義されています。

『「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」で「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と12の要素』

1.前に踏み出す力(アクション)
・主体性 ----- 物事に進んで取り組む力
・働きかけ力 ----- 他人に働きかけ巻き込む力
・実行力 ----- 目的を設定し確実に行動する力
2.考え抜く力(シンキング)
・課題発見力 ----- 現状を分析し目的や課題を明らかにする力
・計画力 ----- 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
・創造力 ----- 新しい価値を生み出す力
3.チームで働く力(チームワーク)
・発信力 ----- 自分の意見をわかりやすく伝える力
・傾聴力 ----- 相手の意見を丁寧に聴く力
・柔軟性 ----- 意見の違いや立場の違いを理解する力
・情況把握力 ----- 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
・規律性 ----- 社会のルールや人との約束を守る力
・ストレスコントロール力 ----- ストレスの発生源に対応する力

一般的に「前に踏み出す力(アクション)」と「考え抜く力(シンキング)」は先天的な資質や才能に、「チームで働く力(チームワーク)」は後天的な環境・育成プロセス・訓練=就業環境・自己研鑽に影響を受けるとのことです。

 
経済環境が著しく変化し続ける現在、またし続けるであろう未来に必要とされているのは、多くの人による大量の情報の集まり=「集合知」ではなく、専門を極めつつ専門を越えて、関連する分野を自在に連結させ統合できる感性・知識・能力=「複合知」だと言われます。
(「集合知」「複合知」とも学術分野の用語で、正確な引用ではありません。ご了承ください。)
 

転職に置き換えてみると、業種・職種を問わず企業が求め続けるのが、専門性が高い上で、関連分野を結びつけ発展させる力のある人材、求められるのは「正解コピー型」から「正解探求型」に変化しています。

さて、誰にでも得手不得手があることを前提に…
貴方にはどのくらいの社会人基礎力が備わっていますか?
周囲の人は、貴方の社会人基礎力をどのように評価していると思いますか?
企業は、貴方の社会人基礎力をどう判断すると思いますか?

なかなか難しいことですが、一度クールに自己採点すると、転職を考える上での参考にして頂けるのではないかと思います。


~人材紹介コンサルタント 中村哲子~

2007年09月10日

●仕事への姿勢は変わらない

先日、前職で仕事を教わり、現在も懇意にして頂いている女性の先輩Mさんとゆっくり話をする機会が
ありました。

彼女のプロフィールは、簡単に以下の通りです。
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   短大卒業後、大手信販会社に就職、債権管理を中心に企画や経理などを担当し、同期
   男性陣に先駆け、トップで課長職に抜擢される。その後スカウトで人材サービス会社に
   転職、信販時代に築いた経歴と人脈を活用して新規プロジェクトを立上げ、収益の柱と
   なるまでに拡大・成長させる。一事業部としての完成を見届けた後、キャリア上の師匠の
   SPコンサルティング会社設立に参画、一から自費で学んだWeb関連の知識と、それまで
   の経験・知識・人脈をフルに融合し、業務拡大に貢献、現在Webダイレクトマーケティング
   部門の統轄ディレクターとして活躍中。プライベートでは3歳になる一児の母として育児に
   奮闘する毎日を送っている。
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Mさんは目標必達、常に成果をもって組織に貢献する優秀な人で、以前からその戦略性・合理性はもとより、困難に直面した時の冷静さとポジティブな態度、真剣勝負で仕事に取り組む姿勢が、社内外から高い評価を受けていました。

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現在も成功を収めている彼女に、私は詳しく聞いてみたいことがありました。

「なぜ設立したばかりの小さな会社で、全く未経験のWeb関連の仕事を、30代後半からしかも自費で勉強をしてまで始めたのか?不安はなかったのか?」

私の疑問に彼女はこんなふうに答えてくれました。

『成り行きだったんだよねー。事情があって、誰かがWebを担当しないといけないことになったんだけど、みんな未経験でね。その時動けるのが私だけだったから、とりあえずスクールに行ったの。費用は高かったけど、会社は設立したばかりで、お金出して、なんてとても言えなかったし。』
『私、仕事でできないって言うのが嫌なんだ。やらないって言うのも。やりもしないのにできないって言うなんてあり得ない。で、絶対モノにする。でないとする意味がないじゃん。絶対やってやるの。昔からそうでしょ、私。』
『仕事の仕方なんて誰だってそんなに変わらないよ。例えば、自分も含めて周りの人も全員がファミレスでウエイターやウエイトレスをしてるって想像してみてよ。みんな今と同じような動きをしてるでしょ。忙しい人はどこへ行っても忙しいし、何もしない人はいつも何もしない。私もいろんな人と仕事をしてるし、下の子も使ってるけど、自分で気付かない限り、仕事の仕方は変わらないね。』

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私は目から鱗が落ちるように合点がいき、妙に納得してしまいました。
確かに友人知人をはじめ、求職登録者の方々と仕事についての話をしていても、過去と現在で、様変わりするように仕事への姿勢が変化していると見受けられる例はさほど多くありません。

逆説的に述べると、「仕事への姿勢は変わらない」ということは、転職活動においても、企業を選択する一つのポイントになるのではないかと考えられます。

これまでどのように仕事へ取り組んできたか、何を重んじて仕事に従事してきたか、所属する組織とどのような関係性を持続してきたか、などの事項が自分自身で認識できれば、その姿勢を求めている組織体や、風土が合致する企業を選択することが、スムーズな転職を実現させる条件の一つとなるでしょう。
このポイントは求職者の方々から見えにくい部分となることが多いので、重視される方は、求人企業を熟知しているコンサルタントから情報を入手されると効率的が良いと思います。

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それにしても、Mさんは変わることなく、以前にも増してよりアグレッシブに仕事をされているようです。

「どんな仕事でも頑張るといいよ。無駄だった仕事って今の自分に一つもないんだよね」
「人とのつながりにどれだけ助けられたことか。財産って言うけど本当だよ」
「新しい仕事を打診されたら、必ず『やります』と答えてきたよ」
「成功していく姿の妄想って、不思議と実現するんだよね」等々...

前職の時に、彼女から頂いたアドバイスや印象に残っているフレーズです。

また再び一緒に仕事をすることになるとしたら、相当に覚悟が必要な、厳しくてステキなMさんです。


~人材紹介コンサルタント 中村哲子~

2007年06月07日

●その先にあるもの

ここ数ヶ月程、キャリア開発の勉強会に出席しています。
毎回2時間程度のセッションを行うのですが、前回は「学生に『働く意味』をどう伝えるか?」がテーマでした。
就職活動を控えた学生に対するアンケート結果が用意されていたのですが、そのアンケートは次のような内容です。

    *******************************************************
     あなたは『働く意味』をどう考えますか? 次のa~qの中から1つだけ選んでください。
     [自分の為]
      a.お金持ちになるため b.食べるため c.やりがいや生きがいのため
      d.他人から評価を得るため e.健康のため f.その他
     [家族の為]
      g.妻や夫や子供のため h.父や母のため i.兄弟姉妹のため j.その他
     [社会の為]
      k.世の中の他人のため l.後に続く若い世代のため m.税金を納めるため
      n.地球(環境)のため o.その他
     [その他]
      p.何となく(意味はわからないが)働く q.その他
    *******************************************************

結果は1位が「c.やりがいや生きがいのため」(29.2%)、2位が「b.食べるため」(27.9%)、以降は「f.その他(充実した日々を送るため等)」(15.8%)、「a.お金持ちになるため」(13.0%)と続いていました。
個人的には、「やりがいや生きがいのため」が1位なのは順当だけれど、2位に「食べるため」が来たのは意外だ、という感想を持ちました。今の学生さんも案外しっかりしているのだな、と妙に感心してしまったのですが…。


さて、ここで「働く」を「転職する」に置き換えて『転職する意味』を少し考えてみたいと思います。

転職をして手に入れたいことは、十人十色、百人百色です。
「キャリアアップ・キャリアチェンジをする」、「能力・スキルを今以上に発揮する」、「収入をアップする・安定させる」、「現在の勤務先より優良な・有力な企業に勤める」、「より良い環境で仕事をする」、「プライベートを確保する」等々…。
そして手に入れたいことは、一つだけではなく、複数の要素が有機的につながって構成されているはずで、それらを手に入れることが転職の目的です。

ところが、転職活動が佳境に入ってくると、自分が考えている希望に迷いやブレが出てきたり、条件が頑なになってしまったりすることがあります。また、「今現在の自分」と「転職」との間にバランスの良い距離が保てなくなり、転職することが「手段」ではなく「目的」になってしまうことさえあります。

そんな時は一度、手に入れたいことの先に何があるのか、ということに思いを馳せるのも一つの方法だと思います。

転職して、自分は何を満たそうとしているのか?
転職して、自分は何を得ようとしているのか?

一階層上がってみたところをから見下ろしてみると、考えていたより裾野は広かったり、様相が違っていたりするものです。


          「なぜ転職をする(働く)のか?」    「何を得たいのか?何を満たしたいのか?」
                  ≪それで≫ ↓           ↓ ≪それでは≫        
                      「転職で(働いて)何を手に入れるのか?」
                ≪そうしたら≫ ↓           ↓ ≪そのために≫        
          「何が得られるのか?何を満たすのか?」    「だから転職する(働く)のか?」


転職を考え始めた時が、まさに転機の時です。
普段は日常に紛れてしまって、意識することのない『働く意味』、『転職する意味』。

「転職」は、過去から現在までの自分を振り返り、これからの「ありたい自分」を広い視野から考えてみる絶好の機会でもあります。
一度原点に立ち返って、シンプルに、両方向から改めて考えてみると、新たな選択肢や可能性が広がるかもしれません。

~人材紹介コンサルタント 中村哲子~